デジタルフロアからこんにちは(・◡・)アナログシンセ布教マンです。最近「配信をやりたい」というお問い合せに加え「ASMRをやりたい」「バイノーラル録音をやりたい」というお問合せが増えてきまして、本来そっち方面の音響が専門のアナログシンセ布教マンが楽しくなっちゃって少しブログを書くことにした次第でございます。(オタク特有の早口)
↑サムネイルが目立つかなと思ってまた絵をつけてみました。左が「アナログシンセ布教猫」右が「ゴッパーちゃん」です。(名前をつける気の無さ)
↓目次です
今回のネタの確認
まず今回扱うネタの確認をします!・ASMR
最近はやりの、聴覚的に「なんかもぞもぞする」、「聞くとなんか気持ちいい」音のことで、なんかもぞもぞして気持ちいい感じになれば録音方法は特に指定無いです。
(なんか堂々とブログに書きにくい単語ですが、もうこれで定着しているみたいなのでこれでいきますよw)
・バイノーラル録音
バイノーラルとは「両耳の」という意味で、両耳にマイクを入れて録音することにより、人の体で起こる音響特性を再現する方法です。そうすることで、イヤホンで聴いているのに音源は頭の外にあるように感じられる、立体的な録音が手に入ります。
録音した位置で再生しないと音響特性が重複してかかっちゃうことになるので再生は(基本的に)イヤホン限定です。
(実質今日のメインディッシュ)
・ステレオ
2つのマイクで録音して2つのスピーカーで出力すること。なので↑のバイノーラル録音はこれに含まれると思います。逆に頭や耳を置かずにマイク2本立てて録っただけであれば↑のバイノーラル録音とはいわないです。
バイノーラルとはなんぞ
耳にマイクを入れて録音すると、それをイヤホンで再生したとき、なぜか仮想的に音源の位置が感じられる、立体感のある音が録れます。普段われわれは音を聴いたとき、その音がどこで鳴っているのか、なんとなく感じられたりするものですが、それには音に含まれる何かの情報を手掛かりにしているといわれています。
それは、音源から音が左右の耳に届くタイミングの差(位相差…音源から遠い耳では音が遅く届く)、音が届くときの左右の耳での音量差(レベル差…音源から遠い耳では音が小さくなる)、音源から耳に届くまでの間に聴取者の頭とか体とか耳たぶとかで反射・回折して起こる音の周波数特性の変化、あとは部屋の反射音とか、自発的な頭部運動とか、骨導音とか、、、 、、、簡単に書くつもりが長くなってしまった。
そんで、耳にマイクを入れて録音すると、以上の手がかりのうち3つ目~4つ目くらいまでを録音した音に付加できるわけですな。
ほんまかいな!?
1つ目と2つ目はイメージしやすいと思いますので、3つ目をもう少し説明します。
音にはいろんな周波数の音(超乱暴な説明では、いろんな高さの音)が含まれていて、それらは空気中での進み方や、ものにぶつかったときの振る舞いが違います…
たとえのひとつとして、高校の教科書に載ってる絵を思い出すといいかも↓
レコーディングのときとか低音がやっかいなのは、低音はよく曲がってよく伝わるからですな。
そんなわけで、音が音源から出て、耳に届くまでに(繰り返しになりますが)、頭や体や耳たぶとかで反射・回折し、強めあったり弱めあったりしていくうちに音が変わってしまうのです。
音の入射する角度や距離によって反射や回折、減衰のしかたも変わるので、それによる音の変化の具合を無意識に感じ取っているというわけです。
たとえば、すべての周波数を同じくらい含んだ下の図のような音があったとします。
横軸は周波数(右に行くほど高い音)、縦軸はその高さの音をどれだけ含んでいるかをあらわします。(縦軸が「0」になっていますが、めっちゃ雑にいうと、デシベルっていうのは何か基準値と同じだったら0になるものなので、ちゃんと音が含まれています。)
ちなみに横軸がいきなり巨大な数字になるのは、人間の聴覚が「低い音どうしだと違いがわかりやすいけど、高い音どうしでは違いがわかりづらい」ようにできているため、音響関係のグラフではだいたいこんなふうになってます。
で、この音が聴取者の耳に届くころには
↓
こんなんなっちゃったりします。
まじです。
※画像はイメージです。実際に測定したものではありません。また、片耳についてのイメージ画であり、もう片方の耳ではまた違う特性がとれます。
※音響特性が異なるので人によって違うデータがとれます。また、音源の位置によっても違うデータがとれます。
そんなわけなので、バイノーラル録音するときはなるべく「その録音した音を聴く人」が普段聴いているような環境をつくるのが理想です。
こんなかんじでアナログシンセ布教猫をダミーヘッドにしてバイノーラル録音をすると、それを聴くゴッパーちゃんは、耳の形、耳の位置、頭の形などがアナログシンセ布教猫とは異なるので
そのため、この場合聴取者であるゴッパーちゃんは、バイノーラル録音の音を聴いているにもかかわらず、うまく立体感を感じられない可能性が上がります。
具体的には、バイノーラル録音じゃない普通の音源を聴いているときのように音源が脳内にあるように感じられたり、一応脳内ではないけど顔に貼りついて聞こえたり、後ろにある音源を録ったはずなのに前にあるように感じたり、ということがよくあります。
なぜそうなるのかは生理学的にもまだ謎が多かったりします。
各メーカーさんからでているダミーヘッドつきのバイノーラルマイクは、なるべくいろんな人が聴いて録音した音源の位置が立体的にわかる特性をめざして作られている、はずです。
ちなみに、ZOOM / H3VRにはバイノーラルモードも搭載されていたりするんですが、耳がないやんけ!!と思われるかもしれません。
これは、おそらく、中のコンピュータさんが、この4つのマイクの組み合わせで音源を方向ごとにわけ、それに対して方向ごとの特性↓
↑これですね。(繰り返しになりますが、アナログシンセ布教猫のようなやつじゃなくて、なるべく誰でも音源の位置が立体的に感じられる特性を使うはずですw)
を、それぞれかけることによって実現しているのだと思います。
(結構計算量ありそうなのにリアルタイム処理ってすげえ…さすがにサンプリングレートは少し下がるみたいですが)
なんとなく…おわかりいただけたでしょうか…
そして、いろんな方の録音を聴いてみて個人的に思っていることなのですが、この方法で録音した音は位置情報を周波数特性として持っているわけなので、録った音をむやみにイコライジングしたり、ノイズカットのために派手にいじったりするのはおすすめしません。
ふつうのレコーディング以上に録り音で勝負したいところです。とはいえあまりザワザワする録音も本意ではないと思うので、なるべく録音環境の調整を…がんばってみてください…!
個人的おすすめ機材
ASMR方面に使うというつもりで個人的おすすめマイクです!AT2020USB+のようなUSBマイク以外は基本的にオーディオインターフェースというものを介してパソコンに接続します。
オーディオインターフェースについてはこちらの記事でまとめましたのでよろしければご覧ください。
●まずは普通のコンデンサーマイク
・audio-technica / AT2050
audio-technicaのマイクは基本的に味付けが少なく、繊細なしごとができるのでASMR方面におすすめ!
20シリーズはコストパフォーマンスも良いのでコンデンサーマイク初心者さんにもおすすめ!
他の入力は使わぬ!録音だけで勝負じゃ!という方は直接USB接続できるAT2020USB+も便利です。
・audio-technica / AT4050
20シリーズより感度が良く、騒音とかも拾いやすくはなってしまうんですが、静かなお部屋に自信があるなら4050はやっぱり圧倒的にいい音録れるのでおすすめ!音が濃密になります。
・NEUMANN / TLM103
この価格帯ならTLM103も良いですね!audio-technicaより味付けは濃くなります。
普通の朗読用なら音が明瞭なTLM102を推すんですが、ASMR用であれば、よりセクシーな音のTLM103おすすめ!
●あとはバイノーラルマイク
(気軽に導入できるものとなるとすごく選択肢少ないんですよね…SENNHEISERのAMBEO SMART HEADSETも生産完了だそうですよ。もし工作に自信がある方ならなるべく広い帯域でフラットな特性の無指向性の超小型マイクを買って自作してもいいかもしれません)
・Roland / CS-10EM
とりあえずバイノーラル録音始めるならとにかくこれ。お手軽すぎやばい。
プラグインパワー方式のミニプラグで録音機材に接続する形なのでパソコンのマイク端子に直接挿して使ってください。
またはTASCAM / DR-05のようなレコーダーの外部マイクとして使ったり、Roland / GO:MIXER PROなどのインターフェースと組み合わせてもたのしいと思います。
ダミーヘッドはついてこないので、「聴取者に話しかけてる感じ」を録りたい場合は別途マネキンを用意する必要があります。
・NEUMANN / KU100
またせたな!!わりと定番のKU100です。有名ユーチューバーとかになったらぜひ。
当店でもお取り寄せできますのでぜひ!!!!!!
※基本的にメーカーさんにも在庫が少ない商品のため、納品まで長期のお時間をいただく場合がございます。また、特殊な製品のためご注文後のキャンセルができません。予めご了承くださいませ。
選択肢がなさすぎて1万円の次が100万円なんですがこれは。
この界隈ではその中間として3DioのFreeSpace(通称白耳・黒耳)というものもよく使われているみたいですが当店ではお取扱いございませんのでサラっとご紹介するにとどめます。
ちなみに、YAMAHAの高性能防音室アビテックスは小さいやつ(0.8畳)なら60万円くらいで買えます。有名ユーチューバーとかになったらぜひ!
↑これはもう少し大きいやつですね。名古屋栄店ドラムフロアにあるやつです!
いかがでしたでしょうか…(・◡・)
なかなかの大作になってしまった…何かの参考になれば幸いです。
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